法律家のたまごの日誌

行政書士を取得するまでの体験記や、難しい法律を分かりやすく説明をするサイトを目指しています。

第三者弁済と抵当権消滅請求の違い

私が所属している、ある法律系勉強グループで
こんな質問がありました。

 抵当物件の第三取得者ができる行為として
 代価弁済と抵当権消滅請求がありますが、
 これは何が違うのでしょうか?
 支払う意思がある第三取得者にとっては
 抵当権消滅請求は抵当権者が競売にかける権利があるため、
 抵当権消滅請求を選ぶ利点がないようにも思えます。

というような質問でした。

 

抵当権を消滅させる方法

抵当権が付いた不動産(土地や家屋)を取得した第三者
その抵当権を消滅させる方法として以下のものがあります。
(1)第三者弁済
(2)抵当権消滅請求

 

(1)代価弁済

代価弁済は
抵当不動産の第三取得者が抵当権者の請求に応じ、
代価を弁済するものです。
請求主(言い出した人)は抵当権者となります。

 

(2)抵当権消滅請求

抵当権消滅請求
抵当不動産の第三取得者が抵当権者に対して
「ある程度の金額を払うから抵当権を消滅させて欲しい」と
請求するものです。
請求主(言い出した人)は第三取得者となります。
この請求を受けた抵当権者は2ヶ月以内に
請求を受けるか競売にかけるか選ばなければなりません。

 

元々の質問に戻ると

代価弁済も抵当権消滅請求も抵当権を消滅させるものですが、
抵当権消滅請求には抵当権者に競売にかける権利があります。
と言うことは、第三取得者から見れば
払う意思があるならば抵当権消滅請求は競売にかけられるリスクがあるので
不利ではないか?というものです。

確かにそう言われるとそのようにも思えますが、
代価弁済と抵当権消滅請求の大きな違いの1つにこれがあります。

抵当権消滅請求は第三取得者が金額提示をできることです。

代価弁済の場合は払う額が決まっています。
抵当権の元となった債務の残額です。
しかし、抵当権消滅請求は第三取得者が金額提示できます。

例:抵当権消滅請求

分かりやすく言うと、仮に1000万円の残債であっても
第三取得者は「500万円でどう?」という提示ができるのです。
抵当権者はこの金額提示を受けて、
競売にかけた方がいいのか提示を受けた方がいいのか
選ぶ権利があるということになります。