法律家のたまごの日誌

行政書士を取得するまでの体験記や、難しい法律を分かりやすく説明をするサイトを目指しています。

民法406条と民法488条1項

私が所属するある法律系勉強グループで
こんな質問がありました。

 債権の目的が、数個の給付のうちから選択によって決まる場合は、
 選択権は債務者に属する。(平成6年行政書士試験より)

この状況がいまいちよく分からないとの事でした。

 

民法406条(選択債権における選択権の帰属)

条文

債権の目的が数個の給付の中から選択によって定まるときは、その選択権は、債務者に属する。

どのような状況か例を挙げて簡単に説明すると、

「みかん」か「りんご」かどちらかを渡さなければいけない場合、
特約がなければ「みかん」を選ぶか「りんご」を選ぶかは
債権者(貰う人)ではなく、債務者(渡す人)に選択権がある

という事です。
この民法406条と似たもので488条1項というものがあります。

 

民法488条(弁済の充当)

条文

債務者が同一の債権者に対して同種の給付を目的とする数個の債務を負担する場合において、弁済として提供した給付が全ての債務を消滅させるのに足りないとき(次条第一項に規定する場合を除く。)は、弁済をする者は、給付の時に、その弁済を充当すべき債務を指定することができる。

これもどのような状況か簡単に例を挙げますと、

Aさんが売る人、Bさんは買う人で、
以下の日程でBさんがAさんから掛けで商品を仕入れたとします。
5/10 10万円 ・・・(1)
5/15 15万円 ・・・(2)
5/20 25万円 ・・・(3)
総額は50万円となります。
後日Bさんが一部の商品が売れたので(準備できたお金は25万円)、
そのお金でAさんに支払おうとしました。
25万円では(1)、(2)、(3)全てを払う事が出来ません。
その場合、(1)と(2)の25万円を支払った事とするか
(3)の25万円を支払った事とするかは
債務者(Bさん)に選択権がある

というものです。