法律家のたまごの日誌

行政書士を取得するまでの体験記や、難しい法律を分かりやすく説明をするサイトを目指しています。

弁済の充当で間違えやすいと思うところ

以前の記事で民法488条(弁済の充当)に触れました。

この民法488条がどういうものだったかは、
下記のリンクを見て頂けると嬉しいです。

本日はこの民法488条に似ているんだけども
違う条文の話をしたいと思います。

状況が似ているのに結論が違うもの、
これを私は「似て非なるもの」と称すのですが、
「似て非なるもの」は勘違いや間違えて覚えたりする事が多い為、
テストでも狙われやすい部分になります。

今回はその一部をご紹介します。

 

民法491条(弁済の充当)*1

条文

債務者が一個又は数個の債務について元本のほか利息及び費用を支払うべき場合において、弁済をする者がその債務の全部を消滅させるのに足りない給付をしたときは、これを順次に費用、利息及び元本に充当しなければならない。

説明

これは、債務者が利息や費用が発生している債務について返済する際に、
全額を返済せず一部の金額のみを返済する時は、
費用、利息、元本の順に返済となる

という事です。

何が間違えやすいのか?

以前紹介した民法488条では、債務者に選択権がありました。
しかし、この民法491条には債務者の選択権がありません。

では、試験の時にどのように問われるかというと、

債務者が元本の他、利息および費用を支払うべき場合において、
弁済のために給付した金銭額が債務の全額に足りない場合、
債務者の充当の指定がない場合は費用、利息、元本の順に充当する。

こう問われた場合はどうでしょう?

シンキングタイムです♪

 

民法488条では債務者に選択権があったので、
ついつい今回のケースも債務者が指定ができそうに思えてしまいますが、、

答えは、×ですね。

民法491条は債務者が充当の指定は出来ません。

 

まとめ 

このように、一方を覚えるともう一方を間違えてしまう可能性がある論点があります。
こういう「似て非なるもの」は一緒に覚えると間違えにくくなるかなと
私は思っています。

*1:以前紹介した民法488条も「弁済の充当」でしたが、488〜491条までが「弁済の充当」となります